レセコンを乗り換える前に、確認すること

レセコンを乗り換える前に、確認すること

レセコンの乗り換えは、使い慣れた道具を新しいものに替えるだけの話に見えて、それだけでは終わりません。保険医療機関には、オンライン資格確認の体制を整えておく義務があり、この義務はレセコンを替えても続くからです。この記事は、乗り換えの前に確認しておきたい点を、療担規則の原文から整理します。

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レセコンは、電子資格確認の体制の一部

この記事で読んだのは、保険医療機関及び保険医療養担当規則と健康保険法です。療担規則 第3条 第1項は、保険医療機関が患者の受給資格を確認する方法を4つ挙げており、その一号目が電子資格確認です。電子資格確認そのものの定義は健康保険法 第3条 第13項にあり、個人番号カードの電子証明書を使って保険者に照会し、回答を受けて資格を確認するしくみだとされています。オンライン資格確認の画面は独立した装置に見えますが、実際にはレセコンと連動して動いており、レセコンを乗り換えるということは、この確認の仕組みを丸ごと入れ替えることでもあります。

体制を整える義務は、乗り換え後も続く

同条 第4項は、保険医療機関に対し、患者が電子資格確認による受給資格の確認を受けられる状態を、前もって用意しておく義務を課しています。この義務は特定のレセコンに結びついたものではなく、保険医療機関という立場そのものに課されています。つまり、乗り換え作業中に一時的でも電子資格確認ができない期間を作ってしまうと、この体制整備義務から外れる時間ができてしまいます。乗り換えの日程は、旧システムの停止日と新システムの稼働日の間に空白ができないよう組む必要があります。

なお同条 第3項は、書面による請求を行っている一部の保険医療機関については第4項の適用を除くと定めています。この例外に該当するかどうかは、乗り換えを検討する前に確認しておく点です。

いつ切り替えるか ── 請求の締めから逆算する

日程を決めるとき、最初に外しておきたい日があります。療養の給付及び公費負担医療に関する費用の請求に関する命令の第2条は、各月分の請求を翌月の10日までに行うと定めています。月の初めから10日までは、前月分のレセプトを点検して送り出す期間だということです。この期間に新しいレセコンの稼働日を重ねると、まだ慣れていない画面で、期限のある作業をすることになります。切り替え日を月の後半に置けるかどうかを、先に見ておく順番になります。

あわせて決めておくのは、切り替えをまたぐ月の請求を、旧と新のどちらのシステムから出すかです。ここが決まっていないと、月が変わってから旧システムを再び立ち上げる必要が出てきます。旧ベンダーとの契約をいつまで残すかは、この答えで決まります。

データの移行で確認すること

法律の話とは別に、実務としても確認しておきたい点があります。患者情報や算定履歴を、旧レセコンから新レセコンへどの形式で移せるか。移行できない項目があるなら、それは何か。旧ベンダーとの契約に、データを返却してもらう条件が明記されているか。契約を解除したあとにデータの受け渡しで揉めると、移行そのものが止まります。解約の申し出は、これらを確認したうえで行う順番になります。

解約しても、保存の義務は残る

移行できない項目が出たときに効いてくるのが、保存の義務です。療担規則の第9条は、療養の給付の担当にかかわる帳簿や書類などの記録を、完結の日から3年間 保存すると定めています。患者の診療録については5年間です。レセコンの契約を解除しても、この期間そのものは変わりません。

ですから移行で確かめるのは、新しいレセコンに何が入るかだけではありません。入らなかったものを、どこに、どの形で残すかまで含みます。紙に出すのか、書き出したファイルで保管するのか。旧ベンダーのサーバーに置いたままにする場合は、契約が終わったあとも読み出せるのかを、解約の申し出より前に文書で確かめておく点です。

まとめ ── 乗り換えは、体制の入れ替え

レセコンの乗り換えは、画面や操作感を比べるだけでは決められません。療担規則が求める電子資格確認の体制整備義務は、レセコンを替えても続くため、乗り換えの日程そのものを、この義務が途切れない形で組む必要があります。そのうえで、データ移行と保存の条件を契約の段階で確かめておけば、解約の申し出をいつ出すかも、そこから決められます。

参考にした情報源

上のリンク先は、デジタル庁が運営する e-Gov法令検索の条文ページです。この記事に書いたことは、そこに表示される条文と一つずつ突き合わせられます。条文は改正で変わります。最終確認は、そのときの原文でお願いします。

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この記事を書いた人

近藤 宏海のアバター 近藤 宏海 代表取締役

近藤 宏海(こんどう ひろみ)/株式会社ガラパゴスワークス 代表取締役。歯科医院の開業から日々の運営まで、事務の現場を担ってきました。自社で歯科医院向けのWebアプリ「事務長AI」と、歯科医師向けアプリ「シカノバ」を開発・運営しています。

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