アプリを外注する前に、読む2つの決まり

アプリを外注する前に、読む2つの決まり

アプリを作ろうという話が出たとき、仕様の一部は、相談を始める前からもう決まっています。AppleとGoogleが公開している審査の決まりです。ここを知らずに見積もりを取ると、公開の直前になって「これも要ります」が出てきます。発注する側が先に読んでおくべきところを、4つに絞って並べます。

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「ホームページをアプリにするだけ」は通りません

AppleのApp Reviewガイドラインには、最低限の機能という項目があります。そこでは、Webサイトを単に包み直しただけのものを作らないように、と書かれています。便利さも独自性もなく、アプリらしさもないものは、App Storeで提供できないとされています。

ですから「医院のホームページをそのままアプリにしたい」という発注は、ガイドラインが名指しで断っている形そのものです。アプリにするなら、ブラウザでは届かない何かが要る。予約の状況が手元で分かる、次回のお知らせが届く、といった中身です。そこが空欄のまま見積もりを取ると、作ったあとで行き先を失います。

ログインを作るなら、退会も作ることになります

ここは、見積書に入っているかどうかを必ず確かめてください。同じAppleのガイドラインには、アカウントの作成に対応しているアプリなら、アプリの中からアカウントを消せるようにもする必要があると書かれています。

Googleの側は、もう一段あります。Google Play のアプリ アカウントの削除要件では、アプリの中だけでなく、Web上にも削除を申し込める入口を用意するよう求めています。理由も書かれていて、すでにアプリを消してしまった人が、自分のデータを片づけられなくなるからです。

そのWebの入口にも条件があります。きちんと開くこと。申し込みの道すじがページ上で目立つこと。アプリの名前やデベロッパーの名前が分かること。さらに、アカウントを消すときは、それにひもづくデータも消す必要があり、外部の委託先にデータを預けているなら、そちらにも削除を頼む必要があるとされています。

つまり見積書には、少なくともこの3つが要ります。アプリ内の退会/Web側の受付ページ/委託先への削除依頼の段取り。入っていなければ、あとから足すことになります。

プライバシーポリシーは、成果物のひとつです

Appleのガイドラインは、すべてのアプリについて、プライバシーポリシーへのリンクを提出時の項目に入れ、アプリの中からも見やすい形で示すよう求めています。中身についても、集めるデータの種類、集め方、何に使うのかを明確にするよう書かれています。第三者にデータを渡す場合は、渡した先が同じ水準でデータを守っているかを確かめる責任も置かれています。

Googleの側も、削除の方法について所定のフォームで申告することを求めています。答えた内容の一部は、ストアの掲載ページに反映されます。

ここで決めておくことは、ひとつだけです。この文章を、誰が書くのか。制作会社が書くのか、医院が書くのか、雛形をもらって医院が直すのか。決めないまま進むと、公開の直前に止まります。文章は、コードより時間がかかることがあります。

医療にかかると、審査の当たり方が変わります

ここは歯科・医科に固有の話です。Appleのガイドラインには、不正確な情報を示しかねない医療用のアプリや、患者の診断や治療に使われる可能性のあるアプリについて、特に厳しく審査すると書かれています。

ガイドラインに書かれていること発注のときに効いてくること
健康に関する測定値は、精度を立証できるようデータと手法を公開する必要がある。確認できなければ却下される「だいたい合っていればよい」が通らない。根拠を出せる作り方を、先に決める
端末のセンサーだけで血圧や体温、血糖値などを測れるとうたうものは認められない機能の案を出す段階で、ここに触れていないかを確かめる
医療上の判断ではアプリだけに頼らず、医師の診断が必要であることを利用者に伝える必要がある画面の中に、その一文を置く場所を用意しておく
出典:Apple App Reviewガイドライン(日本語版)。右の列は、記載をもとに当社で整理したものです。

Googleの側でも、医療のように規制の厳しい分野は別枠として扱われていて、先ほどのアカウント削除の要件について、事情によっては免除が認められる場合があると書かれています。例外が用意されているということは、それだけ扱いが違うということでもあります。

見積もりを取る前に、聞いておく4つ

  1. ブラウザで足りない機能は何ですか。包み直しただけの作りになっていないか
  2. 退会は、アプリの中とWebの両方にありますか。委託先のデータの消し方まで含めて
  3. プライバシーポリシーは誰が書きますか。ストアへの申告は誰がやりますか
  4. 医療にかかる機能がある場合、根拠をどう示しますか。審査で聞かれる前提で

この4つは、どれもAppleとGoogleが公開している文書に書かれていることです。答えが曖昧なまま契約すると、そこは追加費用になる場所です。見積書の金額より先に、この4つを聞いてください。答えを書き留めて、見積書と突き合わせてください。作ってもらったものの権利をどちらに残すかも、契約の前に聞く話です。ロゴを外注したときの著作権の記事に、条文の書き方を並べています。

参考にした情報源

※ ストアの審査基準は、どちらも予告なく改定されます。この記事は、上に挙げたページを当社が確認した時点の記載にもとづいています。実際の開発にあたっては、着手時点の最新版を必ず読み直してください。

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この記事を書いた人

近藤 宏海のアバター 近藤 宏海 代表取締役

近藤 宏海(こんどう ひろみ)/株式会社ガラパゴスワークス 代表取締役。歯科医院の開業から日々の運営まで、事務の現場を担ってきました。自社で歯科医院向けのWebアプリ「事務長AI」と、歯科医師向けアプリ「シカノバ」を開発・運営しています。

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