医院のホームページのアドレスも、予約の確認メールの差出人も、ドメインが生きていることが前提になっています。そのドメインが消えると、サイトが見えなくなるだけでは終わりません。JPRSが公開している資料には、消えたあとに何が起こりうるかまで書かれています。この記事は、その順番をたどります。
有効期限は、放っておくと自動で伸びます
読んだのは、株式会社日本レジストリサービス(JPRS)が公開しているJPドメイン名のライフサイクルです。ここから先は、汎用JPドメイン名と都道府県型JPドメイン名の話として読んでください。属性型と地域型は、同じページの中で別の並びになっています。
JPRSは、登録した日の1年後の月末を有効期限に置きます。その日までに廃止されなければ、期限はさらに1年 自動で延びます。つまり、何もしなければ消える、という作りにはなっていません。登録されている状態から外れるのは、廃止申請という手続きが行われたときです。
ここが、院長にとっての分かれ目です。確かめる相手はJPRSではなく、ドメインを管理している指定事業者のほうになります。契約の支払いが止まっていないか、更新の連絡が届くメールアドレスが生きているか。「更新を忘れた」という言い方で起きる事故の中身は、たいてい、事業者との間の連絡か支払いが途切れたことです。
消えたあとにも、戻せる窓があります
ライフサイクルには、廃止されたあとの扱いも書かれています。期限の翌日から1カ月のあいだ、その月の末日まで、ドメイン名は廃止された状態に置かれます。そのうち回復を受け付けるのは、その月の1日から20日まで。ここで申請が通れば、登録されている状態へ戻ります。
同じことを、ドメイン名の廃止に関する注意のページは、利用者の側から書き直しています。更新の期限を過ぎて意図せず廃止になってしまったときも、誤って自分で廃止してしまったときも、廃止から20日以内であれば回復を申請できる、という説明です。気づいた日が早ければ、戻せる可能性があります。
ただし、条件も添えられています。この手続きの扱いも、受け付ける期間も、利用している指定事業者によって違うことがある。しかも通常は手数料がかかる。相談先は管理指定事業者だ、とされています。窓は開いていますが、自動では開きません。
回復されないまま過ぎたドメイン名は、期限の翌日以降にレジストリデータベースから情報が消えます。そのあとは、同じ文字列を新しく登録できる状態に戻ります。
戻せなかったときに、起こりうること
「再び登録できる状態に戻る」というのは、第三者が登録できるようになるということです。JPRSはこの点を、Webサイトとして使っている場合と、メールアドレスとして使っている場合に分けて説明しています。
Webサイトのほうは、廃止しても残るものがある、という話です。ほかのサイトから張られたリンクと、検索エンジン側に蓄えられたそのドメインへの評価。残っているぶん人が来るので、無関係な第三者に取られて悪用される筋道ができる、という説明です。挙がっている例は、詐欺サイトと誹謗中傷サイトです。検索での見え方を、運営しているあいだに確かめる方法は、サイトを出したら、まず見る画面の記事にまとめています。
メールアドレスのほうは、医院にとってさらに重い話になります。第三者がそのドメイン名を登録してしまえば、同じ文字列のアドレスを作れてしまう。そこから、素性を偽ったメールに使われる可能性がある、という指摘です。もうひとつ挙げられているのが、そのアドレスを別のサービスのIDに使っていた場合です。例として出ているのはSNSアカウントのログインIDで、パスワードを初期化する手続きにそのアドレスが使われるため、アカウントを乗っ取られたり、登録した情報を見られたりする可能性がある、とされています。
取り返す道についても書かれています。商標の侵害など、ドメイン名紛争処理方針に当てはまる事由があるかどうかが分かれ目で、それが無い限り、第三者による登録や使用を差し止めることはできない、とJPRSは書いています。元の登録者だったから戻せる、という仕組みにはなっていません。
自分でたたむときも、同じ順番が要ります
移転や閉院でドメインを手放すときにも、同じ話が当てはまります。JPRSは、廃止の前にしておくこととして、終了を外部へ知らせること、そのアドレスに紐づくアカウントを片付けること、アドレスを別のものへ変えることを挙げています。解約の申し出より前に済ませておく作業がある、ということです。
ドメインの持ち主を、今日たどる
以下は、上に並べた内容から逆算して当社が整理した確認の項目です。JPRSがこの順番を示しているわけではありません。
- いまの有効期限はいつか ── 状態や期限の調べ方は、JPRSがWHOISの利用ガイドで案内しています
- 指定事業者はどこか ── 請求書が届いている会社と、ホームページを作った会社が同じとは限りません
- 更新の連絡は、どのアドレスに届くか ── 退職した人のアドレスや、いま誰も開いていない受信箱になっていないか
- 支払いの手段は生きているか ── 期限の切れたクレジットカードを登録したままになっていないか
- そのドメインのメールアドレスを、どのサービスのIDに使っているか ── 予約システム、Googleビジネスプロフィール、SNS、レセコンのサポート窓口
まとめ ── 見る先は、レジストリではなく事業者
汎用JPドメイン名の有効期限は、廃止されない限り自動で更新されます。消えるのは廃止申請が行われたときで、院長が確かめるべきなのは、その手前にある指定事業者との契約と連絡先です。仮に消えても、廃止から20日以内であれば回復を申請できる窓があります。その窓を過ぎたあとは、同じ文字列を第三者が登録でき、差し止めもできません。更新の話は、期限の管理というより、連絡先の管理です。
参考にした情報源
- 株式会社日本レジストリサービス(JPRS) JPドメイン名のライフサイクル
- 株式会社日本レジストリサービス(JPRS) ドメイン名の廃止に関する注意
- 株式会社日本レジストリサービス(JPRS) 汎用JPドメイン名登録等に関する規則
この記事で扱ったのは、JPRSが管理するJPドメイン名のうち汎用型と都道府県型の扱いです。属性型(co.jpなど)や地域型は同じページの中で別に説明されており、期間の置き方が異なります。.com や .net など、JP以外のドメイン名は、それぞれの管理団体の規則によります。自院のドメインがどれに当たるかを先に確かめてください。
院長の事務を、ひとつの画面に
発注・経理・勤怠・日報・レセプトの返戻・分院の数字を、ひとつの画面にまとめた歯科医院向けWebアプリ「事務長AI」を、当社で開発・運営しています。医院のIT・システム全体のご相談は、DX・ITソリューションのページにまとめています。
