院内に貼ってある掲示は、原則としてウェブサイトにも載せることになっています。しかも掲示の義務はひとつではなく、根拠の違うものが2つ重なっています。片方を直して、もう片方が古いまま残る。この記事は、その2つと、ウェブサイト側の定めを並べます。
ひとつ目 ── 保険医療機関としての掲示
保険医療機関及び保険医療養担当規則(療担規則)第2条の6 第1項です。貼る場所は、その病院または診療所内の見やすい場所。何を貼るかは2つに分かれていて、第5条の3第4項・第5条の3の2第4項・第5条の4第2項が定める事項と、それとは別に厚生労働大臣が定める事項です。
そして第2項です。第1項でいう、厚生労働大臣が定める事項について、ウェブサイトへ掲載する義務が置かれています。ただし頭に「原則として」が付いています。同項は、この「原則として」を残したまま、掲載を義務の形で書いています。
費用の掲示にも、同じ構えがあります
第5条の4を見ると、同じ形が繰り返されています。第1項が扱うのは、評価療養、患者申出療養、選定療養について支払を受けようとする場面。医院に求められているのは2つで、ひとつは、その療養の種類と内容に応じた厚生労働大臣の基準に従うこと。もうひとつは、あらかじめ患者へ内容と費用を説明して、同意を得ることです。
第2項が掲示の義務で、対象は第1項の療養の内容と費用に関する事項。貼る場所は、その病院または診療所の見やすい場所です。第3項はウェブサイトで、同じ事項について、原則として掲載することが求められています。
同条は、説明と同意、掲示、ウェブサイトへの掲載の3つを、別々の項に置いています。説明したから掲示はいらない、という作りではありません。
ふたつ目 ── 医療法のほうの掲示
根拠がまったく別のところにも、掲示の条文があります。医療法施行規則 第9条の3です。義務を負うのは、病院または診療所の管理者。掲示するものは、医療法 第14条の2 第1項の第1号から第3号までに掲げる事項と、次条に掲げる事項です。そして場所が指定されていて、その病院または診療所の入口、受付、待合所、そのいずれかの付近の見やすい場所とされています。
2つを見比べると、違いがはっきりします。
- 主語 ── 療担規則は「保険医療機関」、医療法施行規則は「病院又は診療所の管理者」
- 場所 ── 療担規則は「病院又は診療所内の見やすい場所」、医療法施行規則は「入口、受付又は待合所の付近の見やすい場所」
- ウェブサイト ── 療担規則の第2条の6第2項と第5条の4第3項に、原則としての掲載が置かれています
場所の書き方が違うので、貼る位置も、同じところにまとめて足りるとは限りません。そして、ウェブサイトへの掲載を求めているのは、いまのところ療担規則の側です。
直す場所が増える、ということです
この構えの実務上の意味は、はっきりしています。掲示の内容を1つ変えたら、直す場所が院内だけで終わらない、ということです。
自由診療の費用を見直したとき。院内の掲示は差し替えたが、ホームページの料金ページが古いまま残る。療担規則 第5条の4は、掲示とウェブサイトへの掲載を別々の項で求めています。片方だけを直すと、条文が求めている2つのうち1つが古いままになります。費用を見直したことを患者にどう伝えるかは、自由診療の値上げの伝え方の記事で扱っています。
患者の側から見ると、もっと単純です。院内の紙とホームページで金額が違っていれば、どちらが本当なのか分かりません。条文の話をする前に、そこで信用が減ります。
院内の掲示とサイトを、今日見比べる
以下は、上に並べた条文から当社が整理した確認の順番です。条文がこの順序を定めているわけではなく、これですべてでもありません。厚生労働大臣が定める事項の具体的な中身は、別の告示や通知で示されています。
- 院内の掲示物を、ひとつずつ写真に撮ってあるか
- その内容が、ホームページのどのページに載っているか ── ページのURLを、掲示物の一覧に並べて書けるか
- いちばん最後に費用を見直したのはいつか。そのとき、ホームページも直したか
- 入口・受付・待合所の付近の掲示が、医療法施行規則 第9条の3 の求める場所にあるか
- 費用を変えるときの段取りに、掲示とウェブサイトの両方が入っているか
- ホームページを業者に任せている場合、誰に頼めば何日で直るか
まとめ ── 紙と画面は、同じ回で直す
療担規則は、院内の掲示と、原則としてのウェブサイトへの掲載を、別々の項で求めています。医療法施行規則は、それとは別の事項について、入口・受付・待合所の付近という場所まで指定して掲示を求めています。条文の側は、同じ内容を複数の場所に置くことを前提にしています。だから、内容を変える作業は、どこか一点を直す作業ではなく、一覧を持っていて全部を回る作業になります。その一覧を作るところが、実際の出発点です。
参考にした情報源
- デジタル庁 e-Gov法令検索 保険医療機関及び保険医療養担当規則(昭和三十二年厚生省令第十五号) ── 第2条の6、第5条の4
- デジタル庁 e-Gov法令検索 医療法施行規則(昭和二十三年厚生省令第五十号) ── 第9条の3、第9条の4
この記事は、条文が掲示と掲載を求めている部分を並べたものです。厚生労働大臣が定める事項の具体的な中身、原則の例外にあたる場合、医療広告としての規制は、それぞれ別の告示・通知・ガイドラインに定めがあります。条文は改正で変わります。実際の掲示の内容は、地方厚生局と所管の保健所にご確認ください。
院内を、Googleマップの中へ
受付・待合室・診療室を360度で撮影し、医院のGoogleマップに掲載します。撮影は、お昼休みなど昼間の診療していない時間に伺います。Googleビジネスプロフィールをお持ちでない医院さまは、作成からお受けします。集患と発信全体のご相談は、マーケティング・クリエイティブのページにまとめています。
