「No.1」と書く前に確かめること

「No.1」と書く前に確かめること

広告に「地域No.1」と書く前に、見ておく条文が1つあります。景品表示法 第7条第2項です。内閣総理大臣は、その表示が第5条第1号に当たるかを判断するために必要と認めるときは、表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を、その事業者に求めることができる、としています。そして資料を提出しないときは、その表示は同号に該当する表示とみなす、と続きます。先に書いてから根拠を探す順番だと、ここで詰まります。

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「著しく優良」の線は、条文が引いている

この記事で読んだのは、不当景品類及び不当表示防止法です。第5条は、事業者が自己の供給する商品や役務の取引について、号に挙げた表示をしてはならない、としています。第1号が扱っているのは品質や規格などの内容についての表示です。実際のものより著しく優良だと示す場合と、事実と違えて同じような役務を出している他の事業者のものより著しく優良だと示す場合が、どちらも書かれています。

条文はさらに、そうした表示のうち、客を不当に引きつけ、消費者が自分で合理的に選ぶことを妨げるおそれがあると認められるもの、という条件を重ねています。「大げさだから駄目」という書き方ではありません。実際との差と、選び方への影響の両方を見ています。第2号は価格その他の取引条件について、第3号は前の2号のほかで内閣総理大臣が指定するものについて定めています。

根拠を出せないと、みなされる

もういちど第7条第2項です。ここで大事なのは、順番です。役所が「その表示は誤りだ」と証明するのではなく、事業者の側が、期間を定めて求められた資料を出す形になっています。出さなかったときは、第5条第1号に該当する表示とみなす、と条文が書いています。

つまり「No.1」と書くかどうかの判断は、書く前に手元の資料で決まります。何を母集団にして、いつ、誰が、どうやって数えたのか。この4つが紙になっていないなら、それは求められたときに出せる資料ではありません。患者数なのか、症例数なのか、特定の区の中なのか、駅の半径何メートルなのか。条件を書かずに「No.1」とだけ置くと、読んだ人はいちばん広い意味に受け取ります。

措置命令と課徴金は、別々にある

第7条第1項は、第5条に違反する行為があるときに、内閣総理大臣がその行為の差止めや再発防止に必要な事項などを命ずることができるとしています。条文は、違反行為が既になくなっている場合にも命ずることができる、と書いています。掲載をやめたから終わり、という形にはなっていません。

景品表示法 第8条第1項は課徴金の定めです。第5条に違反する行為のうち第3号に当たる表示に係るものを除いたものを課徴金対象行為とし、課徴金の対象になる期間に取引した商品・役務の売上額をもとに、政令の定める方法で算定した額に百分の三を乗じた額を、国庫へ納めるよう命じなければならない、としています。ただし書には、その表示が号に当たることを知らず、かつ知らないことについて相当の注意を怠った者でないと認められるとき、または算定した額が150万円未満であるときは、納付を命ずることができない、とあります。

医院の場合は、もう1本かかる

歯科医院の広告には、医療法の広告の規制もかかります。第6条の5第1項は、医業・歯科医業や病院・診療所について、方法を問わず、患者を呼び込むための手段として表示を行う場面をとらえたうえで、虚偽の広告を禁じています。景品表示法の側で根拠が用意できたとしても、医療法の側の判断が別に要る、という形です。医院のホームページの表現については、医院のホームページに書けない表現という当社の記事でも条文から整理しています。

書く前に、この順で確かめる

  1. 母集団を決めて、紙に書く。どの地域の、どの診療科の、どの期間の話か。ここが空欄なら、次に進めません
  2. 誰が数えたかを書く。自院で数えたのか、外部の調査なのか。外部なら、調査の方法が読める資料まで手元に置きます
  3. その資料を、求められたら出せる形にしておく。第7条第2項が求めているのは、まさにこれです
  4. 広告の中に、母集団と時点を併記する。書ききれないなら、その表現は使わないという選択もあります
  5. 医療法の側の判断を、別に通す。景品表示法で足りたことが、医療法で足りたことにはなりません

個別の表現が条文に当たるかどうかの判断は、弁護士や所管の窓口にご確認ください。この記事は、条文に書いてあることを並べたものです。

参考にした情報源

上のリンク先は、デジタル庁が運営する e-Gov法令検索の条文ページです。この記事に書いたことは、そこに表示される条文と一つずつ突き合わせられます。条文は改正で変わります。最終確認は、そのときの原文でお願いします。

院内を、Googleマップの中へ

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この記事を書いた人

近藤 宏海のアバター 近藤 宏海 代表取締役

近藤 宏海(こんどう ひろみ)/株式会社ガラパゴスワークス 代表取締役。歯科医院の開業から日々の運営まで、事務の現場を担ってきました。自社で歯科医院向けのWebアプリ「事務長AI」と、歯科医師向けアプリ「シカノバ」を開発・運営しています。

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